「36問正解したのに不合格...なんで?」
1級建築施工管理技士の第一次検定で、毎年こんな声を聞きます。実は私の後輩も、初めての受験で36問正解したのに足切りで不合格になりました。
原因は「応用能力問題」でした。
1級建築施工管理技士の第一次検定には、令和3年度から「足切り」制度が導入されています。

しかも、令和6年度から応用能力問題の出題形式が「五肢択二」から「五肢択一」に変わりました。
「択一になったから楽になった」と思われがちですが、令和6年度の合格率は36.2%と、前年の41.6%から下がっています。
この記事では、1級建築施工管理技士の足切りについて、何問・何点が必要か、運だけで突破できる確率はどれくらいか、そして確実に突破する対策を、令和8年度(2026年度)の試験結果までふまえて解説します。
令和8年度の第一次検定で惜しくも不合格だった方が、次回の令和9年度に向けて何を見直すべきかも、あわせてお伝えします。
こんな方におすすめ
- 足切りは何問・何点で、どんな仕組みなのかを知りたい
- 令和6年度からの出題形式の変更が、足切りにどう影響したか知りたい
- 足切りを確実に突破する対策法を知りたい
- 令和8年度の第一次検定に惜しくも落ちた、または次の受験に向けて準備したい

【結論】足切りは「応用能力問題10問中6問以上」
先に結論をお伝えします。足切りの内容は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 足切りの対象 | 第一次検定の「応用能力問題」(施工管理法・10問、全問必須解答) |
| 足切りライン | 10問中6問以上正解(60%以上) |
| 全体の合格ライン | 解答する60問中36問以上正解(60%以上) |
| 合格の条件 | 上の2つを両方満たすこと |
「何点」という言い方をすると、1問1点で数えた場合、応用能力問題で6点以上、全体で36点以上が必要です。
全体が40問正解でも、応用能力問題が5問なら不合格になります。
1級建築施工管理技士試験の「足切り」とは?基本を理解する
まず、足切り制度の基本をしっかり理解しましょう。知らないと痛い目に遭います。
なお、足切り対策を含めた第一次検定全体の勉強法や難易度、合格率については、1級建築施工管理技士の難易度と合格率|一発合格するための勉強法完全ガイドで詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
足切り制度が導入された背景
1級建築施工管理技士試験は、令和3年度から試験制度が大きく変わりました。
従来の「学科試験」と「実地試験」から、「第一次検定」と「第二次検定」に名称変更されただけでなく、内容も刷新されたんです。
最大の変更点が、第一次検定における「応用能力問題」の導入と、それに伴う「足切り」制度の新設です。
なぜ足切りが必要になったのか?
国土交通省は、「監理技術者補佐」として現場で活躍できる実践的な能力を持つ人材を育成したいと考えています。
そのため、単に知識を暗記しているだけでなく、実際の施工現場で応用できる能力を測る必要が出てきました。
応用能力問題は、まさにその「現場での判断力・応用力」を問う問題です。
ここで一定以上の点数を取れない受験生は、たとえ全体の点数が高くても、「現場で活躍できる実力がない」と判断されてしまうわけです。
第一次検定の合格基準を正確に理解する
第一次検定は、72問が出題され、そのうち60問を解答します。合格基準は、次の2つの条件を両方とも満たすことです。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 全体正答数 | 解答する60問中36問以上正解(60%以上) |
| 応用能力問題 | 必須10問中6問以上正解(60%以上)← 足切りライン |
この表を見て分かる通り、全体で36問以上正解していても、応用能力問題で6問未満しか正解していなければ、その時点で不合格になります。
※出題数・解答数や合格基準は、年度の受検の手引で変更されることがあります。受検前に、必ず公式の最新情報(建設業振興基金の試験案内)で確認してください。
具体例で理解する
| 全体の正解数 | 応用能力問題 | 結果 | |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 60問中40問(66.7%) | 10問中7問(70%) | 合格 |
| ケース2 | 60問中38問(63.3%) | 10問中5問(50%) | 不合格(足切り) |
| ケース3 | 60問中36問(60.0%) | 10問中6問(60%) | 合格(ともにギリギリ) |
ケース2では、全体で63.3%も正解しているのに、応用能力問題が60%未満のため不合格です。これが足切りの恐ろしさです。
第一次検定の合格率の推移(令和5〜8年度)
足切りの影響を見るために、令和5年度から令和8年度までの第一次検定の合格率を確認しましょう。
| 年度 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 | 応用能力問題の形式 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 24,078人 | 10,017人 | 41.6% | 五肢択二 |
| 令和6年度 | 37,651人 | 13,624人 | 36.2% | 五肢択一に変更 |
| 令和7年度 | 41,812人 | 20,294人 | 48.5% | 五肢択一 |
| 令和8年度 | 42,826人 | 19,993人 | 46.7% | 五肢択一 |
※合格者数・受検者数は、建設業振興基金が公表した第一次検定の数値です。試験実施機関の公式サイトで確認できます。
令和8年度の第一次検定は7月19日に実施され、合格発表は8月25日でした。合格率は46.7%で、約半数の受検者が不合格となっています。
注意したいのは、足切りだけで不合格になった人数は、公表されていないことです。そのため、「足切りで落ちる人が何割いる」といった数字は、この記事では断定しません。
令和6年度からの重要な変更点:五肢択一への移行
令和6年度から、応用能力問題の出題形式が変わりました。
この変更は、受験生にとって重要な意味を持ちます。
出題形式の変更内容
| 項目 | 令和5年度まで | 令和6年度以降 |
|---|---|---|
| 出題形式 | 五肢択二 | 五肢択一 |
| 正解条件 | 2つの選択肢がどちらも正解で1問正答 | 1つの選択肢が正解で1問正答 |
| 運だけでの正解 | 2つとも当てる必要があり、難しい | 1つ当てればよく、確率は上がる |
五肢択二(令和5年度まで)
令和5年度までは、5つの選択肢から「不適当なものを2つ選べ」という形式でした。
Aは確信を持って選べても、BかCかで迷った場合は2分の1の勝負になります。
両方正解しないと1問として数えられないため、実質的な正答率は大きく下がっていました。
五肢択一(令和6年度以降)
令和6年度からは、5つの選択肢から1つを選ぶ形式に変わりました。形式上の難易度は下がったと言えます。
ただし、油断は禁物です。形式が易しくなった令和6年度の合格率は、36.2%と前年(41.6%)より下がりました。
「形式が変わったから簡単になった」とは言い切れず、むしろ応用能力問題への対策はこれまで以上に重要と言えます。
令和8年度の応用能力問題は「やや難しい」との評価
令和8年度の第一次検定について、資格予備校の総評では、応用能力問題は10問すべてが必須で、難易度は「やや難しい」と評価されています。
また、1問目に見慣れない図が出題され、解答のペースを乱された受検生が多かったと推測されています。
一方で、正答の根拠は過去に類似の内容が出ているものが多く、学習した内容をもとに落ち着いて解けたかどうかがポイントだった、との見方も示されています。
※予備校の総評は各社の見解で、公式の発表ではありません。年度ごとの問題は、公式サイトで公開される過去問で確認してください。
運だけで足切りを突破できる確率は?
五肢択一なら、全部適当に答えても当たるのでは?と思う方もいるかもしれません。確率で確認してみましょう。
五肢択一の問題を、すべて勘で答えた場合、1問が当たる確率は5分の1(20%)です。10問のうち6問以上が当たる確率は、計算すると約0.6%です。
約160回受けて1回、というレベルですので、運に頼った突破は現実的ではありません。
| 勘だけで解いた場合 | 確率(計算値) |
|---|---|
| 10問中6問以上当たる(足切りを突破) | 約0.6% |
| 10問中4問以上当たる | 約12% |
| 10問すべて外れる | 約11% |
※上の数値は、「すべての問題が完全にランダム」という前提での計算値です。実際には、消去法で選択肢を絞れるため、知識があるほど正解の確率は上がります。
逆に言えば、選択肢を2つまで絞る力があれば、6問以上を取れる確率は大きく上がるということです。
応用能力問題とは?出題の傾向と難しさ
「応用能力問題って、実際どれくらい難しいの?」という疑問にお答えします。
応用能力問題の特徴
- 第一次検定の午後の部で出題され、10問すべてが必須解答(選べない)
- 施工管理法の分野で、躯体工事・仕上げ工事を中心に、施工計画・工程・品質・安全などの内容が問われる
- 「基本の知識」を、現場の場面にあてはめて判断する力が求められる
- 問題文が長く、図や条件を読み取る必要がある問題がある
※分野ごとの出題数は、年度によって異なります。毎年同じ内訳とは限りませんので、過去問で傾向を確認してください。
過去問は公式サイトで確認しよう
過去問題は、試験実施機関の公式サイトで公開されています。この記事では、問題文や解答の転載は行わず、確認先と使い方を案内します。
- 建設業振興基金(試験実施機関)の公式サイト:過去の問題と正答の確認
- 1級建築施工管理技士の過去問の活用法:年度別の使い方と学習の進め方
足切りを確実に突破する5つの対策法
ここからは、具体的な対策法を解説します。私自身、この方法で応用能力問題10問中8問正解できました。
足切り対策に加えて、第一次・第二次検定全体の科目別攻略法については、1級建築施工管理技士の合格対策完全ガイド|第一次・第二次検定の攻略法で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
対策①:過去問は最低5年分、できれば10年分を徹底する
応用能力問題といっても、過去問がベースです。まず、令和3年度から直近の年度までの応用能力問題を完璧にしましょう。可能なら、令和2年度以前の問題(当時は「学科試験」)も含めて10年分やると安心です。
過去問を解く際のポイントは、「なぜこれが正解なのか」「なぜこれが不適当なのか」を理解することです。単に答えを覚えるのではなく、根拠となる基準や数値を確認します。
私の実践例:私は、過去問を3周しました。
- 1周目:まず解いてみる。分からなくても考える。
- 2周目:テキストで根拠を確認しながら解く。
- 3周目:本番と同じ時間で解く。8割以上正解できるまで繰り返す。
この方法で、応用能力問題のパターンが完全に頭に入りました。
対策②:応用能力問題で6問以上取る力を最優先で養成する
全体で36問以上正解することも大事ですが、まずは応用能力問題で6問以上取れる力を優先的に養成しましょう。
理由は簡単です。応用能力問題で足切りになったら、全体の点数に関係なく不合格だからです。
勉強の最初の2ヶ月は、応用能力問題の対策に集中します。躯体工事と仕上げ工事の基本知識を徹底的に固めます。
| 分野 | 押さえたいテーマの例 |
|---|---|
| 躯体工事 | 鉄筋の継手・定着、型枠支保工、コンクリートの養生、鉄骨の溶接 |
| 仕上げ工事 | 防水工事、シーリング工事、内装工事(軽量鉄骨下地・ボード張り)、外装工事(タイル張り・塗装) |
| 施工計画・工程・品質・安全 | 工程表の読み取り、品質管理の基本、安全管理の基本 |
これらのテーマについて、過去問で出題された内容を完璧にマスターします。
対策③:基礎問題で確実に点を稼ぐ
応用能力問題に集中すると、基礎問題がおろそかになりがちです。でも、基礎問題で取りこぼすと、全体で36問以上が取れなくなります。
解答する60問のうち、応用能力問題以外は50問です。ここで確実に点を稼ぎましょう。
目標の考え方(例)
| 応用能力問題の正解数 | 全体で36問を取るために、他の50問で必要な正解数 | 他の50問の正答率 |
|---|---|---|
| 6問(足切りギリギリ) | 30問 | 60% |
| 7問 | 29問 | 58% |
| 8問 | 28問 | 56% |
応用能力問題で7~8問を取れれば、基礎問題の正答率が6割弱でも合格ラインに届きます。
逆に、応用能力問題が6問ちょうどだと、他の分野でも6割をしっかり取る必要があります。応用能力問題の得点を上げることが、全体の合格を楽にします。
対策④:令和3年度以降の過去問に特に注力する
応用能力問題が導入されたのは令和3年度からです。つまり、令和3年度以降の過去問が最も重要です。
令和2年度以前の問題も参考にはなりますが、出題形式が違うため、優先順位は下げてOKです。
- 最優先:令和3年度以降の応用能力問題
- 次優先:令和3年度以降の全問題
- 余裕があれば:令和2年度以前の問題
対策⑤:建設業法などの法改正や最新の施工技術にもアンテナを張る
近年は、法改正や新しい施工技術に関する出題も増えているとされています。過去問に載っていない内容も出る可能性がありますので、次のテーマには注意しておきましょう。
- 建築基準法の改正
- 建設業法の改正
- 労働安全衛生法の改正
- 環境配慮・省エネルギー関連
- 働き方改革関連
建設業界のニュースサイトや、国土交通省の発表をチェックしておくと安心です。
【令和8年度に不合格だった方へ】次の受験に向けて見直すポイント
令和8年度の第一次検定の合格率は46.7%で、約半数の方が不合格でした。不合格は珍しいことではありません。
大切なのは、原因が「足切り」なのか「全体の点数」なのかを切り分けることです。
まず自己採点の結果から、見直す方向を決める
| 状況 | 考えられる原因 | 見直しの方向性 |
|---|---|---|
| 全体は36問以上、応用能力問題が5問以下 | 足切り | 応用能力問題を最優先で対策。過去問の「根拠」を理解する勉強に切り替える |
| 応用能力問題は6問以上、全体が36問未満 | 基礎問題の取りこぼし | 基礎問題を中心に、過去問の周回で正答率を上げる |
| どちらも基準に届かなかった | インプット不足 | 学習計画を作り直し、テキストと講義で基礎から固め直す |
再受験で失敗しないための3つのポイント
- 前回と同じ勉強法を繰り返さない:不合格になった原因に合わせて、教材や進め方を見直す
- 応用能力問題の得点を、年度ごとに記録する:6問を安定して超えているか確認する
- 早めに学習を再開する:試験直後の記憶が新しいうちに、間違えた問題を振り返る
次回(令和9年度)の試験日程や申込期間は、2026年10月時点では未公表です。例年は年初に案内が出ますので、公表され次第、この記事を更新します。
申込のスケジュールは、公式サイトで確認してください。
独学で不合格になった場合は、通信講座を使って学習の質を見直す方法もあります。講座の比較は施工管理技士のおすすめ講座の記事一覧も参考にしてください。
受験前に確認したい注意点
ポイント①:五肢択一の出題形式に慣れる
令和6年度から五肢択一になっています。過去問を解く際は、令和6年度以降の問題を必ず確認し、形式に慣れておきましょう。
ポイント②:足切りラインは「受検の手引」で必ず確認する
この記事の足切りライン(10問中6問以上)は、令和8年度までの内容です。次回以降の試験でも変更がないか、受検の手引で確認しておきましょう。
ポイント③:出題される法令の基準日を確認する
試験で出題される法令には、年度ごとに「基準日」が定められています。法改正があった場合に、出題の対象になるかどうかが変わります。
基準日は受検の手引に記載されていますので、申込時にあわせて確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 足切りは何問・何点ですか?
第一次検定の応用能力問題10問のうち、6問以上の正解(60%以上)が必要です。1問1点なら6点以上です。全体では、解答する60問中36問以上の正解も必要です。
Q2. 全体で36問以上取れていても不合格になりますか?
なります。応用能力問題が5問以下の場合は、全体の点数に関係なく不合格です。
Q3. 応用能力問題を捨てて、他の問題で合格できますか?
できません。応用能力問題は10問すべてが必須で、足切りの対象です。6問以上取れないと、他の問題の点数に関係なく不合格になります。
Q4. 五肢択一になって、足切りは楽になりましたか?
形式上は、1つを選ぶだけになったため、択二より当てやすくなりました。ただし、令和6年度の合格率は36.2%と前年より下がっており、「楽になった」とは言い切れません。
Q5. 足切りで落ちた人の割合は公表されていますか?
足切りだけで不合格になった人数や割合は、公表されていません(確認できませんでした)。公表されているのは、受検者数・合格者数・合格率です。
Q6. 令和8年度に不合格でした。次はいつ受験できますか?
令和9年度の試験が対象になります。日程は2026年10月時点で未公表です。公表され次第、この記事を更新します。
まとめ:足切りを恐れず、確実に対策すれば突破できる
1級建築施工管理技士第一次検定の足切り:
- 応用能力問題10問中6問以上の正解が必須
- 全体で36問以上正解していても、足切りで不合格になる
- 令和6年度から五肢択一に変更されたが、合格率は下がった(令和6年度36.2%、令和7年度48.5%、令和8年度46.7%)
- 勘だけで6問以上を取れる確率は約0.6%
確実に突破する5つの対策:
- 過去問5年分(できれば10年分)を徹底
- 応用能力問題で6問以上取る力を最優先
- 基礎問題で取りこぼさない
- 令和3年度以降の過去問に特に注力
- 最新の法改正や施工技術にもアンテナを張る
最も重要なこと:足切りは恐れるものではなく、対策すれば突破できます。
私の後輩も、1年目は足切りで不合格でしたが、2年目は応用能力問題に集中して対策した結果、10問中8問正解して余裕で合格できました。
正しい対策をすれば、結果は変わります。この記事の内容を実践して、ぜひ次の試験で合格を勝ち取ってください!
次のステップ:今すぐ始めよう
1. 過去問を入手する
まずは令和3年度から最新年度までの過去問を入手しましょう。過去問の活用法の記事も参考にしてください。
2. 学習計画を立てる
効率的な学習スケジュールや資格取得までの全体の流れについては、1級建築施工管理技士になるための完全ガイド|受験資格から合格戦略まで徹底解説で確認しましょう。
3. 通信講座も検討する
独学が不安な方は、施工管理技士のおすすめ講座の記事もチェックしてみてください。
4. 資格の価値を知る
モチベーション維持のために、1級建築施工管理技士の価値も確認しておきましょう。
