こんな方におすすめ
- 二級建築士試験の合格率や難易度はどうなのか
- どんな対策をいつからやればいいのか?
- 過去の試験から合格を探る
合格を最短でゲットするには過去の試験を知ることです。
私は一級建築士を取得する前は二級建築士を取得しました。
一級建築士を目指している人もまずは二級建築士を受験するとよいでしょう。
「将来的に一級建築士になりたい」「まずは二級建築士を受験したい」という方に向けて必要な勉強方法や試験概要について解説していきます。
ぜひ、参考にしてみてください。
二級建築士とは?資格取得するメリット
二級建築士の資格を取得していると建築士の独占的業務をはじめ、設計業務を担うことができるようになります。
こちらの記事で解説しているように住宅規模レベルの建築、インテリア関係の仕事を目指す方にとってはピッタリの資格でしょう。
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また二級建築士の資格を取得していると学歴問わず一級建築士の資格取得を目指すことができます(実務経験などの条件あり)。
二級建築士試験概要
二級建築士になるためには公益財団法人建築技術教育普及センターが実施している『二級建築士試験』に合格する必要があります。
試験は、
- 学科の試験
- 製図の試験
の2つに分かれており、両方の試験で合格しなければなりません。
では、それぞれの試験概要を詳しく見ていきましょう。
学科試験について
学科試験は【計画】【法規】【構造】【施工】の4科目で構成されています。
科目の内容は下記のとおりです。
学科試験科目
- 計画…建築の計画に関する数字や、歴史に関する問題が出題される
- 法規…法令集を持ち込んで問題を解く
- 構造…計算問題が5問程度あり、構造知識の問題が出題される
- 施工…建築施工に関する問題。範囲が広く難易度も高い
各科目25点満点、4科目合計100点満点の五股択一式・マークシート方式です。
合格ラインは前科科目の点数の他に各科目の合格ライン(足切りライン)があり、各科目は13点が基準となります。
稀に、このラインは変わりますが二級建築士はほとんど変わりません。
二級建築士の学科試験は特に免除条件はありませんが、一度通過すれば一定の回数を免除されて製図試験(二次試験)を受けることができます。
令和2年以降の「学科の試験」に合格した方は、引き続いて行われる4回の建築士試験のうち2回(「学科の試験」の合格年の「設計製図の試験」を欠席する場合は3回)について「学科の試験」の免除を受けることができます。
令和5年は、令和2年以降の「学科の試験」に合格した方のうち、合格年から令和4年までの「設計製図の試験」の受験回数が2回以内の方は、本人の申請により、本年試験の「学科の試験」が免除されます。(欠席は受験回数に含まれません。)
参考:‐公益財団法人建築技術教育普及センター『二級建築士試験』より
製図試験について
先述した学科試験で合格した方のみ製図試験の受験が可能です。
製図試験は事前に告知された「設計課題」に対して、仮想の依頼主(出願者)の依頼内容から建築物の設計を行います。
実際の建築案件のように依頼主の求めることを的確に読み取り、建築の利便性や周辺環境などを考慮した作図を試験時間内(5時間)に行うことが必要です。
【参考:令和5年二級建築士試験「設計製図の試験」の課題】
要求図書
1階平面図兼配置図[縮尺1/100]
各階平面図[縮尺1/100]
床伏図兼小屋伏図[縮尺1/100]
立面図[縮尺1/100]
矩計図[縮尺1/20]
面積表
計画の要点等
(注1)建築物の階数については、試験問題の設計条件において指定する。
(注2)答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(矩計図については10ミリメートル)の方眼が与えられている。
(注3)建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限 等)とする。〈注意事項〉
試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。
去年の二級建築士の結果概要(合格率や難易度を分析)
学科試験
2023年度(令和5年)去年の学科試験の概要は下記の通りです。
- 受験者数(学科) 17,805人
- 合格者数(学科) 6,227人
- 合格率 35.0%
参考) 試験結果-公益財団法人建築技術教育普及センター
また、合格基準点は以下のとおり(合格基準は各科目基準点及び総得点以上)
- 学科Ⅰ(計画) 13点
- 学科Ⅲ(法規) 13点
- 学科Ⅳ(構造) 13点
- 学科Ⅴ(施工) 13点
- 総得点 60点
令和5年度の二級建築士試験では過去五年間のうち、最も低い35.0%の合格率となりました。
令和4年度と比べると受験者数も合格者数も減少傾向にあります。
ちなみに、合格基準点は各科目13点、総得点は16点と変わりありません。
合格者数の内訳を見てみると、若年層及び学生の割合が多く、建築資格取得を推進する企業や専門学校で早期取得を目指す傾向が増えてきていることが分かります。
また、女性の受験者数も増えてきているため、男女性差に関わらず積極的に資格取得を目指す方が増えてきているということも資料から見てとれるでしょう。
今後の受験対策について
今年度の初出題の問題では基本原理よりも実践的な知識などを問われることが多く、過去問題の解答をそのまま暗記するだけでは太刀打ちできないものが出題されています。
また、カバーしきれないような新しい用語や理論など過去問題を隅々までやらなければならないような問題も出題されており、正しい知識を持って解答することが求められています。
このことから、二級建築士試験で合格するためには基本原理をしっかり理解したうえで、様々な応用問題に対処できるような理解と応用力を鍛える必要があるといえるでしょう。
各分野をバランスよく勉強し、理解しきれていない理論や計算はテキストを活用するなど実践でも役に立つような知識を身につける必要があります。
製図試験結果の概要と解説
二級建築士の製図試験の試験結果についても解説していきます。
- 受験者数:9,988人
- 合格者数:4,985人
- 合格率:49.9%
参考) 令和5年 製図の試験結果-公益財団法人建築技術教育普及センター
製図試験の合格率は5割程度と去年に比べて上昇しており、例年通りと言えるでしょう。
しかし油断はできない状況と言わざるをえません。
なぜなら、合格に値するのはランク1という成績を与えられた者のみだからです。
下記の資料をみてみましょう。
- ランクⅠ:49.9%
- ランクⅡ:5.7%
- ランクⅢ:37.9%
- ランクⅣ:6.5%
- 参考) 令和5年 製図の試験結果-公益財団法人建築技術教育普及センター
令和5年の製図課題では「専用住宅(木造)」を主題とし、多目的室を利用した趣味サークルを楽しむ建築物を設計する内容が出題されました。
外部動線や内部動線の条件、専用住宅ならではの吹き抜けなど設計条件の意図を汲んだ製図が求められており、適切に動線計画や建物配置計画が行われているかがポイントとなっています。
参考)令和5年 製図の課題-公益財団法人建築技術教育普及センター
今後の製図試験で合格するポイント
二級建築士試験では三年に一度木造以外の課題が出題されており、令和6年度の試験での発表が予測されます。
そのため、RC造に関する図面が書けることや部位・部材などをしっかり理解しておくことが必要となるでしょう。
木造に比べるとRC造は法規や設計の難易度が高く、一級建築士試験に迫るほどともいわれています。
早期からRC造に関する課題や設計を時間内に仕上げられるような力をみにつけていくようにしましょう。
二級建築士に合格するのは難しい?難易度や合格率を解説
二級建築士の難易度は易しくありませんが、激ムズでもないようです。
どの程度の難易度なのか一級建築士と二級建築士の合格率を比較してみていきましょう。
- 一級建築士→学科16.2% 製図33.2% 最終9.9%
- 二級建築士→学科35.0% 製図49.9% 最終22.3%
この合格率だけを見るとそこまで変わらないんじゃないか?と思うかもしれません。
しかし、学科と製図の関門が多少優しくなるだけでもかなり違います。
なんと資格一覧のサイトでは資格偏差値が10程度開いているのです。
一級建築士の合格率がなぜ低いのか【合格率がほぼ固定だから】
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二級建築士の3回目以降の受験価値はほぼ無い理由
ここで私が議題に挙げた二級建築士の3回目以降は受験価値が無いという理由は個人的ですが、聞けば納得されるかもしれません。
一級建築士の登録要件(旧受験資格要)には実務経験2年以上なければならないこと、そして指定学科を受けられる最短の方を対象とした条件です。
もし、仮に二級建築士を2回受験に失敗してしまい3回目を受けようとする場合、同年代には一級建築士を受ける人がいることになります。
一級建築士は大は小を兼ねる資格なので、二級建築士にできることは一級建築士でもできてしまうということ。
つまり、同年代・同学歴を持つ方に比べてキャリアに差が開いてしまうのです。
せめて学科試験の免除条件である4回の受験のうち2回までに製図試験に合格しておく必要があるでしょう。
二級建築士では仕事がない?
二級建築士にしかできない仕事はありません。
地元の工務店や住宅メーカーであれば、二級建築士でも大いに活躍できます。
しかし、大手住宅メーカーやゼネコン、設計事務所、デベロッパーは一級建築士でないと活躍はできません。
そのため、自身のキャリア形成のためにも二級建築士に合格したら積極的に一級建築士にチャレンジするとよいでしょう。
H2.二級建築士で合格するための難易度とは?
二級建築士の試験は一級建築士に比べて難しくありませんが、合格率はそこまで高く無いというのが現状です。
ただし、受験者は受験資格要件から察するにある程度、建築を学んできている方ばかり。
つまりある程度の合格者しかいないというのはかなり勉強して対策を講じないと受からない資格であるため、しっかりと勉強方法を模索していきましょう。
独学でも受かる学科試験の勉強方法
では、学科試験に合格するためにはどのような勉強を行うべきか。
学習point
- 過去問を3周すること
- 頻出問題を完全にマスターする
とてもシンプルなことですが、選択肢の全てを理解して間違いがあれば覚える、ということまでやらなければなりません。
また、頻出問題は本試験でも必ず出題される問題であるため、しっかり内容を理解してスムーズに解けるようにしていく必要があります。
理解できない問題などはテキストを振り返って内容を理解したり何周も勉強して定着をはかるようにしていきましょう。
二級建築士の勉強方法とスケジュールをズバッと解説
二級建築士の試験は一級建築士程じゃないよね?って思う方も多いかもしれません。
しかも、建築士法の改正により実務経験が無くても一級建築士の学科試験は受けられるようになりました。
つまり、学歴さえ満たしていれば実務経験あるないに関わらず受験ができるということ。
もっと深く掘り下げると、二級建築士受験者のなかには一級建築士に次ぐほどの実務経験を持つ方もいれば、偏差値の高い大学や専門学校を出ている人もいるなかで受験しなければなりません。
では、二級建築士に合格するためにはどのくらい勉強しなければならないのか紹介していきましょう。
二級建築士の勉強時間は700時間⁉
二級建築士の勉強時間は700時間必要なのか。
逆算していくとなぜここまで必要なのかが分かってきます。
試験は大抵7月に行われ、なかには大学生や社会人の方も。
学業や仕事があるなかで1日3時間程度勉強できるとしましょう。(もちろん、休日は5〜6時間はやりましょう)
700時間➗3時間=233日・・・!?
ざっくり計算すると7ヶ月強は勉強しないと受かりません。
ということは1月からすぐに始めなければ間に合わないのです。
ちなみに資格学校は大抵11月や12月から少しずつ始めています。
一級建築士でも同じこと言っていますが、二級でさえ4月からというのは遅いのです。
しかし、新しいテキストや問題集、法令集は年末か年明けなどに発行されるため、本格的な学習は正月からが勝負。
そこで、私は日建学院に通っていた時の経験から下記のスケジュールを立ててみました。
11月〜1月 構造(計算問題)のマスター、法令集をカスタマイズ(ここ大切だよ)
2月〜3月 テキストを一通り読んで知識を入れる
4月〜5月 とにかく過去問を解きまくる(3周以上が望ましい)
6月〜7月 苦手部分を抽出し、重点的に覚える(これ大事)
あくまで上記のスケジュールは私が実際に行ったスケジュールですが、参考になればと思います。
特に苦手部分の抽出、及びその克服に時間を割けるとよいでしょう。
ちなみに製図試験はみんな同じ(製図試験を落ちた人は別)ですが、学科試験を通った直後からスタートです。
これも遊んでいる暇は一切ありません。試験まで枚数を重ねて練習していきましょう!
来年への傾向と対策
来年の傾向としては引き続き、難易度は変わらず多少の上下はあるでしょう。
しかし、建設業界的には資格者は増やす方向ですので、難しすぎて受験者を落としまくるようなことは起きないと想定されます。
その中で試験対策としては上記でも述べたように、過去問を何周もして問題に慣れることです。そして、あやふやな問題は無くして知識を身につけましょう。それが一番の合格の近道です。
試験対策の講座レビューについては下記の記事で詳細に解説しています。
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また、製図試験については試験構成を理解して対策するという詳細内容をまとめております。
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