「図面は描けるようになったけれど、記述(計画の要点)で何を書けばいいか分からない。」 「自分の文章が、試験元の求める『正解』に届いているか不安。」
二級建築士の製図試験で、多くの受験生が最も苦手とするのが「計画の要点」の記述です。図面は何とか時間内に描き上げたものの、記述欄を前にして「何を書けばいいのか」と頭が真っ白になる——この経験をした人は少なくありません。
私自身、初めて製図試験を受けた時、記述欄に「採光と通風に配慮しました」という、今思えば笑ってしまうほど抽象的な文章を書きました。当然、その年は不合格。後に合格者の解答例を見て、「こんなに具体的に書く必要があったのか」と愕然としました。
二級建築士の記述は、暗記ではなく「図面との整合性」がすべてです。どれだけ美しい文章を書いても、図面と矛盾していれば減点されます。逆に、図面と完全に整合した記述であれば、文章が多少ぎこちなくても満点が取れます。
本記事では、採点者に響く「満点解答」の作り方と、分野別の頻出キーワード・解答例を徹底解説します。この記事を読めば、「記述で何を書けばいいか分からない」という不安が、「これを書けば満点だ」という確信に変わります。
こんな方におすすめ
- 図面は描けるようになったけれど、記述(計画の要点)で何を書けばいいか分からない。
- 自分の文章が、試験元の求める『正解』に届いているか不安。
- そもそも何を書けばいいか分からない
二級建築士「計画の要点」で満点を狙うべき理由
まず、「なぜ記述で満点を狙うべきなのか」という理由を理解しましょう。
図面のケアレスミスを記述でカバーする「貯金」を作る
二級建築士の製図試験は、図面と記述の総合評価で合否が決まります。図面が完璧であれば、記述が多少弱くても合格できます。
しかし、図面に小さなミス(寸法の記入漏れ、室名の書き忘れなど)がある場合、記述で「貯金」を作っておくことが重要です。
記述で満点を取っておけば、図面の小さなミスがあっても、トータルで合格ラインを超えられます。逆に、図面も記述も中途半端だと、合格ラインギリギリ、あるいは不合格になるリスクが高まります。
私の知人で、図面に寸法の記入漏れがあったにも関わらず、記述で満点を取って合格した人がいます。「記述で貯金を作っておいて本当に良かった」と話していました。
近年の傾向:記述の不備が「重大な不適合」とみなされるリスク
近年の二級建築士試験では、記述の重要性が増しています。
かつては、「記述は図面のオマケ」という位置づけでしたが、現在では、「記述の不備が重大な不適合とみなされる」ケースが増えています。
特に、図面に描いた内容と記述が矛盾している場合、「受験者が自分の図面を理解していない」と判断され、大きな減点になります。
また、記述が極端に少ない(欄の半分も埋まっていない)場合も、「熱意の欠如」とみなされ、減点対象になると言われています。
採点者はここを見ている!「主観」ではなく「客観的根拠」の重要性
記述で重要なのは、「主観的な感想」ではなく、「客観的な根拠」を示すことです。
悪い例として、「快適な空間を実現しました」という文章があります。これは、主観的な感想であり、採点者には「何がどう快適なのか」が伝わりません。
良い例として、「南面に大開口を設け、自然採光を積極的に取り入れることで、昼間の照明エネルギーを削減しました」という文章があります。
これは、「南面に大開口」「自然採光」「照明エネルギー削減」という具体的な根拠が示されており、採点者に明確に伝わります。
採点者は、「この受験者は、自分の図面を正しく理解し、設計意図を論理的に説明できているか」を見ています。
主観ではなく、客観的な根拠を示すことが、満点への近道です。
減点されない!満点解答を作るための「3つの黄金ルール」
ここでは、満点解答を作るための具体的なルールを3つご紹介します。
① 図面との「完全整合」
記述の最重要ルールは、「図面との完全整合」です。
図面に描いていない設備や寸法を、記述に書いてはいけません。逆に、図面に描いた重要な要素は、必ず記述で説明しましょう。
例えば、図面にスロープを描いたなら、記述で「高低差を解消するため、勾配1/12のスロープを設置しました」と書きます。図面に吹き抜けを描いたなら、記述で「吹き抜けを設け、上下階の一体感を演出するとともに、自然採光を2階まで取り込みました」と書きます。
逆に、図面にスロープを描いていないのに、記述で「スロープを設置しました」と書くと、矛盾が生じます。この矛盾が、大きな減点に繋がります。
私も、模試では、図面に描いていない「自然換気窓」を記述に書いてしまい、減点されました。
本試験では、図面と記述を何度も見比べて、矛盾がないかを確認しました。
② 「箇条書き」と「キーワード」の活用
記述は、採点者が「一目で加点要素を見つけられる」ように書くことが重要です。
そのためには、「箇条書き」と「キーワード」を活用しましょう。
悪い例として、「建物の計画にあたっては、利用者と管理者の動線が交差しないように配慮し、さらに高齢者や車椅子利用者にも配慮したユニバーサルデザインを採用し、また省エネルギーにも配慮して自然採光を取り入れました」という文章があります。
これは、一文が長すぎて、採点者が「何が加点要素なのか」を見つけにくいです。
良い例として、以下のような箇条書きがあります。
計画の工夫として、以下の3点を実施しました。
- 動線の分離:利用者と管理者の動線を明確に分離し、動線の交差を防ぎました。
- ユニバーサルデザイン:段差を解消し、スロープ(勾配1/12)を設置しました。
- 省エネルギー:南面に大開口を設け、自然採光を積極的に取り入れました。
この書き方であれば、採点者は一目で「動線の分離」「ユニバーサルデザイン」「省エネルギー」という3つの加点要素を見つけられます。
③ 具体的な数値と固有名詞を入れる
記述では、「具体的な数値」と「固有名詞」を入れることが重要です。
悪い例として、「十分な通路幅を確保しました」という文章があります。これでは、「十分とはどれくらいか」が分かりません。
良い例として、「車椅子利用者に配慮し、通路幅を900mm以上確保しました」という文章があります。これは、「900mm」という具体的な数値が示されており、採点者に明確に伝わります。
また、「自然エネルギーを活用しました」ではなく、「パッシブデザインの手法を取り入れ、自然採光と自然換気を活用しました」と書くことで、専門用語(パッシブデザイン)を使った説得力のある記述になります。
私は、2回目の受験で、すべての記述に「具体的な数値」を入れるように意識しました。「スロープの勾配1/12」「通路幅900mm」「天井高2,400mm」など、図面に描いた寸法を記述にも明記しました。この徹底が、満点に繋がりました。
【分野別】そのまま使える!合格レベルの記述・解答例集
ここでは、分野別に「そのまま使える」合格レベルの解答例をご紹介します。
計画(動線・ゾーニング)
テーマ:動線計画
利用者動線と管理者動線を明確に分離し、動線の交差を防ぎました。具体的には、利用者の主動線を建物南側に配置し、管理者の動線を北側に配置しました。また、搬入動線を利用者動線と完全に分離し、安全性を確保しました。
テーマ:ゾーニング
建物をパブリックゾーン、セミパブリックゾーン、プライベートゾーンの3つに明確に分けました。パブリックゾーン(エントランス、ロビー)を1階南側に配置し、プライベートゾーン(事務室、倉庫)を1階北側に配置しました。2階にはセミパブリックゾーン(会議室、研修室)を配置し、静穏な環境を確保しました。
テーマ:バリアフリー・ユニバーサルデザイン
高齢者や車椅子利用者に配慮したユニバーサルデザインを採用しました。具体的には、建物内の段差を完全に解消し、玄関から2階までエレベーターでアクセス可能としました。また、廊下幅を900mm以上確保し、車椅子が円滑に通行できるようにしました。多目的トイレを1階と2階に各1箇所設置し、オストメイト対応設備を備えました。
構造(耐力壁・断面計画)
テーマ:耐力壁の配置
構造的安定性を確保するため、耐力壁を上下階で一致させ、荷重を確実に基礎まで伝達できるようにしました。また、耐力壁をバランス良く配置し、偏心を最小限に抑えました。X方向、Y方向ともに、建物の中央と両端に耐力壁を配置し、ねじれを防止しました。
テーマ:基礎計画
地盤調査の結果、GL-2.0mに良好な地盤があることを確認し、独立基礎を採用しました。基礎梁で各独立基礎を緊結し、不同沈下を防止しました。また、基礎の根入れ深度を1,200mmとし、凍結深度以深に設定しました。
テーマ:断面計画
1階の天井高を2,800mmとし、開放感のある空間を実現しました。2階の天井高は2,400mmとし、居室として十分な高さを確保しました。屋根は切妻屋根とし、勾配を4/10として、雨水の排水と積雪荷重に配慮しました。
環境・設備(パッシブデザイン・省エネ)
テーマ:自然採光
パッシブデザインの手法を取り入れ、自然採光を積極的に活用しました。南面に大開口(幅3,600mm)を設け、冬季の日射を取り込むとともに、庇(出幅900mm)を設置し、夏季の日射を遮蔽しました。また、吹き抜けを設け、2階まで自然光を導入しました。
テーマ:自然換気
自然換気を促進するため、各居室に対面する壁に開口部を設け、風の通り道を確保しました。また、吹き抜けの頂部にハイサイドライト(高窓)を設置し、温度差換気により暖かい空気を排出できるようにしました。
テーマ:省エネルギー
省エネルギーに配慮し、以下の3点を実施しました。
- 断熱性能の向上:外壁に断熱材(厚さ100mm)を充填し、熱損失を低減しました。
- 高効率設備の採用:LED照明を全館に採用し、消費電力を削減しました。
- 自然エネルギーの活用:太陽光パネル(容量5kW)を屋根に設置し、創エネルギーを図りました。
一級建築士の製図試験のエスキスについては、一級建築士 製図試験「記述」対策の完全攻略ガイドでも詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
記述をスピードアップさせる「自分専用テンプレート」の作り方
記述で時間を取られすぎると、図面や見直しの時間が足りなくなります。
記述にかける時間は、「20分以内」が理想です。
どんな課題でも使い回せる「万能フレーズ」をストックする
記述をスピードアップするには、「万能フレーズ」をストックしておくことが効果的です。
どんな課題でも使える万能フレーズとして、以下のようなものがあります。
「利用者と管理者の動線を明確に分離し、動線の交差を防ぎました。」 「高齢者や車椅子利用者に配慮したユニバーサルデザインを採用しました。」 「自然採光を積極的に取り入れ、昼間の照明エネルギーを削減しました。」 「耐力壁を上下階で一致させ、構造的安定性を確保しました。」
これらのフレーズを、自分専用のテンプレートとしてノートにまとめておきます。試験本番では、このテンプレートを思い出しながら、自分の図面に合わせてカスタマイズして書きます。
私は、A4用紙1枚に「万能フレーズ集」を作り、試験前日まで何度も見返しました。本番では、このフレーズを組み合わせて記述を書いたため、20分以内に記述を終えることができました。
エスキス段階で「記述のネタ」をメモしておく重要性
記述をスムーズに書くには、エスキス段階で「記述のネタ」をメモしておくことが重要です。
エスキス中に、「動線を分離した」「吹き抜けを設けた」「スロープを配置した」といった工夫をした瞬間に、エスキス用紙の余白にメモします。このメモがあれば、記述の時に「何を書けばいいか」で悩む時間がゼロになります。
記述にかける時間を「20分以内」に短縮する練習法
記述のスピードアップには、練習が必要です。
過去問のエスキスを見ながら、「この図面なら、記述でどう説明するか」を20分以内で書く練習を繰り返します。
最初は30分かかっても構いません。練習を重ねることで、徐々に時間が短縮されます。
私は、過去問10年分について、それぞれ3回ずつ記述の練習をしました。1回目は30分かかりましたが、3回目には15分で書けるようになりました。
作図スピードを上げる方法については、【製図試験】トレース時間を30分短縮する10のコツ!作図スピードを劇的に上げる手順と道具術で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
↑一級建築士・二級建築士共通です。
独学者が陥りがちな「やってはいけない」NG記述
ここでは、独学者が陥りがちな「やってはいけない」NG記述をご紹介します。
テキストの丸写し(自分の図面と矛盾しているパターン)
最もやってはいけないのが、「テキストの模範解答を丸写しする」ことです。
テキストの模範解答は、特定の図面に対応した記述です。自分の図面とテキストの図面が違う場合、テキストの記述をそのまま使うと、矛盾が生じます。
例えば、テキストの模範解答に「吹き抜けを設け、自然採光を2階まで取り込みました」とあっても、自分の図面に吹き抜けがなければ、この記述は使えません。
必ず、自分の図面に合わせて、記述をカスタマイズしましょう。
専門用語の誤用(例:耐力壁と垂れ壁の混同など)
専門用語を間違えると、大きな減点になります。
よくある誤用として、「耐力壁」と「垂れ壁」の混同があります。耐力壁は、地震や風などの水平力に抵抗する壁です。垂れ壁は、天井から下がっている壁で、構造的な役割はありません。
また、「庇」と「軒」の使い分けも重要です。庇は、窓や出入り口の上に設ける小さな屋根です。軒は、建物の屋根が外壁から突き出している部分です。
専門用語を使う時は、必ず正しい意味を理解して使いましょう。
枠からはみ出す、または余白が多すぎる(熱意の欠如)
記述は、指定された枠内に収める必要があります。枠からはみ出すと、減点対象になります。
逆に、余白が多すぎる(枠の半分も埋まっていない)のも、「熱意の欠如」とみなされ、減点されると言われています。
理想は、枠の8〜9割を埋めることです。
文字が小さすぎると読みにくいので、適度な大きさで、しっかりと枠を埋めましょう。
まとめ:記述は「図面の説明書」。一貫性を持って書き上げよう
二級建築士の記述は、難しいものではありません。
図面と完全に整合した内容を、箇条書きで具体的に書くだけです。
記述は「図面の説明書」です。図面を見れば分かることでも、言葉で説明することで、採点者に「この受験者は、自分の図面を正しく理解している」という印象を与えられます。
満点は難しくありません。図面を正しく翻訳するだけです。自分の解答例を何度も音読し、手に覚え込ませましょう。
独学に限界を感じたら:通信講座という賢い選択
二級建築士の記述対策で、独学に限界を感じたら、「通信講座」という選択肢を検討しましょう。
通信講座なら、プロの講師が「合格レベルの記述」を実演してくれます。また、自分が書いた記述を添削してもらえるサービスもあり、「自分の記述のどこが弱いか」が明確になります。
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特に、「スタディング」の二級建築士講座は、記述の添削サービスが充実しています。
講師が一つひとつの記述をチェックし、「ここをもっと具体的に」「この専門用語は誤用」といった具体的な指摘をしてくれます。独学では得られない「客観的フィードバック」が、記述力を劇的に向上させます。
さらに、「総合資格学院のオンライン講座」も選択肢の一つです。
通学コースよりも費用を抑えつつ、総合資格の高品質な講義と添削サービスが受けられます。特に、製図試験の記述対策では、過去の合格者の記述例が豊富に提供され、「満点解答の型」が学べます。
独学か通信講座か——どちらを選ぶにしても、「記述で満点を取る」という意識を持つことが重要です。記述は、努力が確実に点数に反映される分野です。図面との整合性を徹底し、具体的な数値とキーワードを盛り込んだ記述を書けば、必ず満点が取れます。
あなたの合格を、心から応援しています。

