一級建築士の勉強はとてつもなく長いです。その中でこんな不安が有るのではないでしょうか。
- 一級建築士の勉強はいつから始めればいいのか?
- 一級建築士の学習範囲を一通り終えるのにどのくらいかかる?
- 一級建築士を目指すにはいつから何をやればいい?
- どういった対策をいつからやればいい?
- 一級建築士の勉強の仕方が分からない!
そこに私がこれは実践しておいた方がいい要素をプラスしております。
ただ、これは合格を体験しないと分かりません。この記事ではこれから受験される方でも分かるように解説しています。
一級建築士は独学で合格できるのか
結論として一級建築士を独学で合格をすることは難しいです。
その理由は一級建築士試験の合格率と学習環境の相互関係にあります。
実際に建築業界に携わっている身として、私は学科製図全てを独学で合格した人の話を聞いたことがありません。
ただし、学科試験は独学でも合格できる確率はあります。どちらかというと製図試験の方がより困難です。
いずれにしても、一級建築士に合格するためには【正しく最短の勉強方法をやる】ことに尽きると考えてます。
一級建築士の合格率と合格点の全て
一級建築士の試験は学科試験と製図試験の2段階構成になっています。
学科試験を通過しなければ製図試験には臨めません。それぞれの合格率と合格点について見ていきましょう。
一級建築士の学科試験の合格率
近年の一級建築士の学科試験の受験者数と合格者数、合格率について表にしました。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
---|---|---|---|
令和5年度 | 28,118人 | 4,562人 | 16.2% |
令和4年度 | 30,007人 | 6,289人 | 21.0% |
令和3年度 | 31,696人 | 4,832人 | 15.2% |
令和2年度 | 30,409人 | 6,295人 | 20.7% |
令和元年度 | 25,132人 | 5,729人 | 22.8% |
平成30年度 | 25,878人 | 4,742人 | 18.3% |
平成29年度 | 26,923人 | 4,946人 | 18.4% |
平成28年度 | 26,096人 | 4,213人 | 16.1% |
平成27年 | 25,804人 | 4,806人 | 18.6% |
引用:総合資格学院HP
一級建築士の受験者数が増加傾向であることが分かりますが、これは単に人気と解説している記事もありますが正しくは受験資格による法改正によるものです。
いずれにしても、学科試験を通過するだけでも上位15%以内に入ることが必要です。
一級建築士の学科試験の合格点
一級建築士の年度ごとの合格点についてもまとめました。
実施年 | 計画 (基/出) | 環境設備 (基/出) | 法規 (基/出) | 構造 (基/出) | 施工 (基/出) | 総得点 (基/出) | 合格率 |
令和4年 | 11/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 91/125 | 21.0% |
令和3年 | 10/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 87/125 | 15.2% |
令和2年 | 11/20 | 10/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 97/125 | 22.8% |
令和元年 | 11/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 91/125 | 18.3% |
平成30年 | 11/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 87/125 | 18.4% |
引用:資格の学校TAC公式HP
試験の難易度によって稀に補正がありますが、あまり期待しない方がいいです。
特に全体の点数については90点以上と言われていますが、合格圏は95点以上、安全圏は100点として取れるようにしましょう。
一級建築士の製図試験の合格率
一級建築士の合格点は試験の仕組み上、残念ながら公表されません。
合格率のみ公表されておりますが、これだけでも把握しておくことが重要です。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 | |
令和5年 | 10,238 | 3,401 | 33.2% |
令和4年 | 10,509 | 3,473 | 33.0% |
令和3年 | 10,499 | 3,765 | 35.9% |
令和2年 | 11,035 | 3,796 | 34.4% |
令和元年 | 10月13日実施 4,214 12月8日実施 5,937 | 10月13日実施 4,214 12月8日実施 5,937 | 10月13日実施 36.6% 12月8日実施 34.2% |
平成30年 | 9,251 | 3,827 | 41.4% |
平成29年 | 8,931 | 3,365 | 37.7% |
製図試験の合格率を見ると、学科試験よりは倍近くあるので少し安心してしまいます。
しかし、一級建築士になるためにはこの両方を突破すること(つまり15%の中の30%に入ること)が必要です。
一級建築士に合格するために必要な時間
一級建築士試験に合格するために必要な勉強時間を私だけでなく友人、同僚からのヒアリングによってまとめました。
一級建築士の学科試験において
結論から言うと学科試験は11月から始めるべきです。
一級建築士の学科試験は膨大な知識の量を求められます。それを把握し、知識を入れ込むのに必要な勉強は800時間〜1000時間と言われています。
毎年7月の試験なので、日中を仕事として考えると1日2時間〜3時間できるとかなり良い方です。※最新の試験日は随時、建築技術教育普及センターで確認していきましょう。
平均として900時間➗2.5時間=360日・・・!?
ココに注意
なんとほぼ1年なのである。
ただ、週休2日は考慮していないので、もう少し縮めても良いが確かに予備校の講座は11月から始まります。
ではどうして4月から始めることが遅いのか?その理由は2つあります。
とにかく学習範囲が広い
計画、環境設備、法規、構造、施工と多すぎるということです。
1つのテキストがそこまで分厚くなくても、5教科合わせればかなりの厚さになります。
テキストを熟読して内容を把握するだけでなく、出題傾向を把握するために過去問を解くことも重要です。よって、より多くの時間が求められます。
毎年出題ポイントが変わる
新しいテキストや問題集、法令集は年末か年明けなどに新しいものが発行されます。
その理由は法改正やその前に年の試験の傾向によって、各学校が対策方向を予測してまとめているからです。
特に、法改正が大きく最近は変わっていることが多いので注意が必要です。よって、本格的な学習は年明けからと行うしかないのです。
一級建築士の製図試験において
製図試験は結論から言うと、勉強時間というより製図の枚数で合格ラインを超えられるかが決まります。
ズバリ、30枚を超えると合格圏に入ると言われています。
なぜ、時間では枚数なのか。それは製図試験は速さが求められるので慣れてくるからです。 例えば、2週間で製図を5枚書く人と、1枚書く人とではエスキスを含めて描いた経験値が圧倒的に違います。
しかし、安心してください。最初のうちは本当に分からずしんどいです。反対にこれさえ、掴めてしまえば合格はかなり近いです。
一級建築士に独学で合格するための勉強法
一級建築士に合格するためには正しい勉強をすることが最も大切です。
そして勉強する参考書を選ぶこともかなり重要です。 正しい勉強方法をしなければ、どんなに勉強をしても試験を突破するまでの知識力が付けられないからです。
実際、私が受験して合格した経験をもとに感じました。
一級建築士の学科試験の勉強方法
学科試験を突破するには次の3つが重要となります。
- テキストや参考書を隅から隅まで一度は読む
- 過去問題集を3周以上は解く
- 法令集の使い方を知る
これについて少し詳しく解説していきます。
テキストや参考書を隅から隅まで一度は読む
テキストや参考書に書かれている内容については一通り全てに目を通して学んでください。
なぜなら、一級建築士の試験はよくテキストで太文字や赤文字になっていない部分からも出されます。太文字や赤文字は過去問に出ていたり、他のライバルも身につけている部分です。
他のライバルと差をつけるための対策方法です。
過去問題集を3周以上は解く
過去問題集は少なくとも3周以上は解きましょう。
なぜなら、3周以上解かないと人間の知識として身につかないからです。
これは科学的に証明されている忘却曲線にも当てはまります。間違えた問題だけでなくなぜ正解したのか全ての選択肢を学んでください。
法令集の使い方を知る
法令集の使い方を知ることは一級建築士試験の合格につながります。
なぜなら、法規の科目を得点源としている方が合格者のほとんどだからです。他の科目では出題範囲や難易度などをいくらでも変えられてしまう特性があります。
法令集を引かなくても解ける問題が半分以上あると合格にグッと近づいている証拠です。
一級建築士の製図試験において
一級建築士の製図は時間との勝負なので、それをどう乗り切るかで既に合否が決まります。
- 最低でも30枚以上は図面を描く
- 時間配分を決めておく
- 模試は絶対に受ける
以上の点を詳しく解説します。
最低でも30枚以上は図面を描く
一級建築士の製図試験までに30枚は描くようにしてください。
理由は前述していますが、時間内に描き終わるまでの力をつけるためです。
実際に資格学校の製図講座もこれを目指すようコースの時間などが組まれています。ただし、宿題もやる前提です。
時間配分を決めておく
時間配分を決めることで、当日焦りやケアレスミスにつながることを防ぎます。
その理由はエスキスに悩んでいると製図が間に合わなくなるケースや、製図に時間がかかり記述が書けないなど不合格の原因となります。
完璧でなくとも減点で回避し、不合格に直結する未記入を無くすこともかなり合格に近づきます。
模試は絶対に受ける
模試は試験と同じ環境下で製図の力試しができる最強の勉強方法です。
これにより、自分の弱点を把握することができます。例えば、エスキスなのか記述なのか、製図のあるポイントなのかです。
まとめ
【学科試験の勉強方法】
- テキストや参考書を隅から隅まで一度は読む
- 過去問題集を3周以上は解く
-
法令集の使い方を知る
【製図試験の勉強方法】
- 最低でも30枚以上は図面を描く
- 時間配分を決めておく
- 模試を絶対受ける
資格学校がオープンで公開していますのでぜひ確認してみましょう。
一級建築士の勉強スケジュール(根拠)とテンプレを公開
私は日建学院に通っていたが簡単に下記のスケジュールを立てました。(最近、このサイトをよくパクっているのも見ますが、全ての根拠はここです)
学科合格者のスケジュール
11月〜1月 構造(計算問題)のマスター、法令集をカスタマイズ
2月〜3月 テキストを一通り読んで知識を入れる
4月〜6月 とにかく過去問を解きまくる(3周以上が望ましい)
7月 苦手部分を抽出し、重点的に覚える(これ大事)
上記のスケジュールは私が実際に行ったスケジュールですが、参考になればと思います。
特に苦手部分の抽出、及びその克服がかなり大切です。
製図合格者のスケジュール
7月末(学科試験)
7月末(学科試験終後)〜10月(製図試験まで) 製図・ゾーニング練習
(作成中:2024年9月公開予定) ダウンロード方法を検討していますのでしばらくお待ち下さい。。。
一級建築士に独学で合格するコツ
一級建築士の勉強法についてもう少し深掘りしていきます。私の合格した経験も含めて記載します。
長期的なスケジュールを立てる
一級建築士の試験範囲は膨大なため、一通り勉強するだけでもかなりの時間を要します。
前述した必要な勉強時間を参考にしながらあなた自身の勉強スケジュールを立てて下さい。
そうしないとモチベーションが続かなくなってしまい、何をやればいいかわからなくなる時がきます。
過去問は何度も繰り返しとく
過去問はとにかく繰り返し解くことで試験に太刀打ちできる力が身につきます。
なぜなら、試験範囲が膨大なのでいちいち丁寧に暗記している時間がないからです。
皆さんがよくやっていた英単語と同じように、しつこく何度も解くことで覚えます。
苦手科目は作るとNG
苦手科目を作ってしまうと合格する確率がなくなってしまいます。
それは合格点のところをもう一度見てほしいのですが、各教科に足切り点が設定されているためです。
よって、他の教科そして全体の点数が良くても1つの教科が足切り未満だと学科試験が通らなくなってしまうんです。
これを避けるためには弱点克服の学習も必要です。
本番と同じ模試を解く
一級建築士の試験時間はかなりの長丁場になります。
その理由は試験が注意事項説明も含めると9:30から始まり、17:55までかかります。実際、これは資格試験の中でもトップクラスです。
しかし、法規に関しては初心者にとって時間が少なく感じます。これは法令集を引くことに慣れていないことがあります。
通信講座を併用する
一級建築士試験を独学で受けようと考えている方には通信講座を強くお勧めします。
なぜなら、ここ数年で通信講座の種類は増えてきたことで各通信講座の質が上がっています。
これにより、質の良い教材で学べるだけでなく、試験情報や模試なども受けられることから強くおすすめします。
一級建築士の独学が不安な方は通信講座を使うのがベター
一級建築士の通信講座は数年前まで数種類しかありませんでしたが、今は大手資格学校も参入して10種類以上に及んでいます。
効率よく合格を目指せる
一級建築士の通信講座には音声教材や動画教材などが増えてきています。さらに、スマホやタブレットにも対応してきているものが多いんです。
さらに、資格学校のように大量の教材を提供できるわけではないので、かなりノウハウを絞った教材にしているわけです。
実際に一部ではAIで学習者の弱点を把握して出題してくれる独自教材も出てきています。
スキマ時間を使って合格力アップを目指せる
スキマ時間を使えることは合格するにはとっても大きな武器です。
なぜなら、受験者の大半は机に向かう時間が少ないからです。
実際よく考えてみると、一級建築士を受験する人は建築関係の人がほとんどで、この業界に残業が少ない、休日も出勤する人も多いってよくあることではありませんか?
モチベーションを高めながら学習できる
現在の一級建築士の通信講座は送付された紙のテキストでひたすら机で勉強するといったスタイルではなくなってきています。
実はオンラインでマイページができていて仲間とコミュニティができて情報交換できたり、アプリ感覚で問題を解くこともできるんです。
いかにも「勉強」といったものではないので、飽きづらい仕組みを作ってくれています。
一級建築士独学合格者の体験談
一級建築士を独学で合格した方の体験談についてはインターネットでは残念ながら見つかりませんでした。
しかし、通信講座を利用したことでリーズナブルに効率よく合格できたという声はいくつかあります。
一級建築士講座(スタディング)を受けた方
1級建築士『学科の試験』合格
問題集などを持ち歩く必要がないので、隙間時間があればどこでも勉強ができて便利でした。
食塩水さん 建築士 2023年合格
1級建築士『学科の試験』合格
問題集を全て解けるようになるまで繰り返すこと
イシガミ タイキさん 建築士 2023年合格
1級建築士『学科の試験』合格
アプリで間違えた問題を管理してくれるため復習がしやすく、隙間時間を活用しやすいため、こまめに繰り返し学習ができました。
ウニソラさん 建築士 2023年合格
スタディングHPより
一級建築士学科試験の免除制度とは
一級建築士学科試験の免除制度とは過去に学科試験に合格したが、製図試験を通らなかった方のためにある制度です。
その理由は学科試験が20%も無い中で通過したのに、製図試験も30〜40%程度なのでそう簡単にはいかないからです。
とはいえ、学科試験からやり直すというのは酷なので一定期間、製図試験からでいいよよいったものです。
実際、製図試験に不合格だった翌年から4年間(3回)は学科試験を受けずに製図試験に臨めるというわけです。
一級建築士を活かせる仕事は
一級建築士を活かせる仕事は実はものすごく多くあります。
なぜなら、実際に設計業務というものだけでなく、発注者や管理者などマネージメントにおいても建築士としての役割はとても大きいからです。
実際に求人検索でリクナビNEXTなどを見て頂いても、色々な職種で一級建築士が必須や歓迎という枠に入れられていることがわかります。
具体的に言うと下記のような企業があります。
一級建築士の無料オンライン講座とは
一級建築士の通信講座の中でも無料で受けられる通信講座をご存知でしょうか。
それはスタディングです。
他のサイトは宣伝っぽくなっていますが、本サイトでは一級建築士である筆者が実際に体験したレポも記事にしています。
無料で1つの授業が受けられるので、授業がどんなものなのかということもわかります。
さらに、試験情報の講義も見れますので一石三鳥です。
一級建築士資格を取るには
一級建築士を取得するための詳細はこちらの記事で解説していますので、ここではざっくりと解説します。
まずは受験資格があるかどうかの確認です。最近では製図試験合格後に登録要件を満たしていればよいと法改正がありました。
受験の申し込みをして学科試験の対策に励みましょう。製図試験はがっかしけんが受かってからでも対策はできます。
もっと知りたい一級建築士について
一級建築士を目指すかたのためにさまざまな段階での情報を本サイトでは発信しています。
⚪︎初めて一級建築士を受験される方へ
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こんなお悩みの方に対する解説をこの記事では書きました。 この内容は私個人の実体験にて証明していく形ですので、公式ではありませんが実証済みという認識で読んで頂ければと思います ...
⚪︎その他お役立ち情報について(製図記述の対策)
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【172解答例文付き独自教材】一級建築士試験の記述対策を徹底解説
こんな認識の方もいらっしゃるのではないでしょうか。正直、上記の考え方は落ちる方の典型的なパターンなのです。 記述の解答例は市販のテキストやネット上にはほぼあり ...
一級建築士の学習方法
一級建築士の学習は1年にわたって対策する必要があるくらい学習時間が必要です。
それは出題範囲の内容を理解することと、出題形式に答えられるようにすることの両方の学習が大切します。
これにはテキストを読み込むことと、過去問集をひたすらやることが重要になってきます。ただ、これをやると言っても何が効率的に良いのか。
一級建築士の勉強スケジュールのまとめ
以上が私が一級建築士の合格までの学習スケジュールになります。
これ以上に最短なスケジュールはありません。 再度お伝えしますが、少しでも学習を怠ると合格から恐ろしいほど遠ざかります。
この記事の要約