こんな方におすすめ
- 製図試験に持ち込んでよい道具とは?
- 逆に持ち込んではいけない道具とは?
- 使いやすい製図板など差はあるのか
- 使いやすいシャーペンとかはあるの
- きれい折れにくいシャーペンの芯はあるのか
この記事を読むことで実際に私が一級・二級建築士試験を通して体験した製図道具をもとに解説します。
一級・二級建築士の製図試験について
一級・二級建築士試験は「学科の試験」と「製図の試験」に分かれており、学科試験で合格した方のみ製図試験を受験することができます。
製図の試験では予め与えられた課題を基に依頼者(出題者)の意図を読み取り、設計法規や構造ルールなどを順守したうえで正確かつスピーディーに設計図を仕上げなければなりません。
一級建築士及び二級建築士の製図試験の解答時間は以下のとおりです。
二級建築士:5時間
「こんなに試験時間長いのか!?」と思うかもしれませんが、受験の経験がある方からすると少ないと感じるでしょう。
なぜなら、その場で計画からゾーニング、製図(記述含む)を一気に仕上げるからです。
そのため、製図試験は時間をいかに短縮して効率よく製図できるかが勝負の分かれどころとなります。
では、製図の試験を少しでもスピーディーに進めるにはどうすればよいのか。それは、製図の道具選びに時間を割くことです。
製図試験のテクニックと道具の関係
『【保存版】一級建築士製図試験で受かる人ランク1の条件を解説』で解説したように、製図試験を上手く乗り越えるには、描くものを考えながら描くことです。
建築の製図というものは描くものに対して必要な道具があります。例えば、
- 長い線を引く時→並行定規&大きな三角定規
- 斜め45度の線を引く→三角定規
- 建具や什器を描く→テンプレート
このように製図するものに色々なものが必要ですよね。
つまり、描くものを考えながら、次にどのアイテムを使うかを考えながら動く。それほど、製図試験において道具選びは重要であるということです。
一級・二級建築士の製図試験に持込み可/不可の道具
一級及び二級の製図試験に持ち込んでよい道具は予め定められています。
そのため、過去問演習時点で持ち込み可の道具で製図を書き慣れておく必要があるということです。
では、実際の試験で持ち込んでよいもの・不可なものをみていきましょう。
持ち込んでよいもの
持ち込んでよい道具は下記のとおりです。
- 製図板〔45cm×60cm程度とし、傾斜用の軽易なまくらの使用は可とする。ただし、使用に際しての製図板の傾斜角度は30度以下とする。〕
- T定規(60cm程度)
- 平行定規
- その他の定規(直定規、三角定規、勾配定規、雲型定規)
- 円・だ円・正三角形・正方形及び文字用の型板(テンプレート)
- 三角スケール
- 分度器
- コンパス
- ディバイダー
- ハケ
- 画びょう
- 製図用テープ
- しんホルダー
- 鉛筆ケズリ
- 消し板(テンプレートとしての使用は不可)
- 計算尺
- 電卓(加減乗除、ルート、メモリー、%機能、関数機能を限度とし、プログラム機能を有せず、小型で音のしないもの)
- 問題チェック用の蛍光ペン・色鉛筆(解答するに当たり、蛍光ペン・色鉛筆で作図しないでください。)
- 滑り止めマット(他の受験者の妨げになるものは不可)
- 時計又はストップウォッチ(小型で時計機能のみのものに限る、アラーム等音の機能の使用は不可)
ちなみに、必ず全ての道具を持ち込まなければならないのではなく、あくまでも「持ち込んでよい」ものと定められています。
ただし、製図道具に三角スケールに目印としてマークしたもの、シールを貼ったものの使用は認められていないので、持ち込めるような状態なのかチェックしておかなければなりません。
ちなみに当たり前のことですが
- 受験票
- 黒鉛筆(HB又はB程度、シャープペンシルを含む。)
- 消しゴム
も必須となるので、当日は忘れないようにしましょう。
持ち込んではいけない道具
逆に持ち込んではいけない道具は以下のとおりです。
- ドラフター
- 問題用紙つり器具
- 認められる図形及び文字用以外の型板(テンプレート)
- 点線・破線等を引くことができる型板(点線スケール)
- ソロバン
- メモ用紙
- トレーシングペーパー
- 電動消しゴム
- 筆記用具等収納ケース
- その他上記a、b以外のもの
普段上記の道具を使用している方は本試験で使用できないため、 持ち込み可の道具で製図に慣れておきましょう。
一級・二級建築士合格した筆者がおすすめする製図道具
では、実際に建築士試験に合格した筆者が持ち込んでよかった製図道具や逆に要らなかったなというモノを紹介していきます。
持ち込んでよかったアイテムについてはおすすめ製図道具をピックアップしているのでぜひ、購入する際の参考にしてみてください。
絶対必要なアイテム
平行定規
製図試験において綺麗な縦横の線を引くのに必須となる道具です。三角定規と組み合わせて使用します。
試験に持ち込みができるのはA2サイズのみなので、持ち込む定規が規定を満たしているか確認するようにしましょう。
おすすめ①ムトーの平行定規
私が使用していたのはムトーの平行定規でした。
ココがポイント
機能優先が多彩な平行定規となっており使いやすさ満点です。
- 製図板からスケールを浮かせることができるフローティング機能
- 用紙張り替えが容易なスケール反転機能
- スケールに三角スケールを装着できるスケールグリップ
- 製図板傾斜角が5,10,15度と調整可能
- スケールは高精度のシンクロベルト駆動方式
以上がメインの機能ですがその他にも使いやすい工夫がされています。
意外とこれを使っている受験生は多くなかったのですが、私の大学ではこれをオススメしていました。
おすすめ②ドラパスの平行定規
続いてはドラパスの平行定規になります。これは多くの受験生が使っているイメージがあります。
基本的な機能がしっかり備わっている平行定規なので、建築士試験にも向いています。
マグネットボード採用・任意の位置で固定できるフローティング装置搭載・ワイヤーとキャリッジローラーの採用で耐久性抜群・図版傾斜角度の選べるスタンドを採用(0°・6°・9°)
- 付属品:携帯バッグ・取扱説明書・保証書・マグネットプレート(500mm×2・300mm×2)
- 両サイドにチャックが付き、収納の簡単な防水携帯バッグ付属
三角定規
三角定規も平行定規と同様に必須となる道具です。
綺麗な直線や垂直線を書くために必要になるので、必ず持ち込むようにしましょう。
製図用シャープペンシル
通常のシャープペンシルとは異なり、製図用のシャープペンシルを持ち込むようにしましょう。
製図用シャープペンシルは、先端が細く長く、線を引くのに適した特徴的な形状をしています。
おすすめ①ステッドラーのシャープペンシル
特徴のある硬いグリップの安定感と低重心が長時間の筆記も疲れにくいのが特徴です。持ちやすさの理由は見るからにしっかりとしている硬めのグリップです。
このグリップはローレット加工になっていて、滑りにくい仕様となっています。金属を使用する事により少ない力で握り易く、ペン先に重心が生まれるので低重心な設計にもなります。
また、軸も安定するので何本も線をを重ねて往復させたり、ペン先を動かすのが楽で軽快に描く事が出来ます。
プロにもお勧めですが、受験勉強などの長時間の筆記でも手が疲れにくく、集中力維持に繋がります。
おすすめ②ロットリングのシャープペンシル
- シャープ0.5/0.7mmはスライディングパイプ&クッションポイント方式を採用。
- ホルダー2.0mmにはノック部分に便利な芯シャープナーが付属しています。
- 正確で品質の高い書き味を求めるプロユースに最適。スタイリッシュな細身ボディです。
- 単品仕様:全長:145mm、軸径:8.5mmφ (グリップ部:9.0mmφ)、重さ:シャープ25g/ホルダー27g
- ブラックボディ:真ちゅう、ブラックエポキシパウダー仕上げ
- グリップおよびコーン部:真ちゅう、ブラックエポキシパウダー仕上げ
- クリップおよびノック部:スチール、エポキシパウダー仕上げ
おすすめ③ohtoのシャープペンシル
私が実際に試験で使用したシャーペンなのでリストにあげました。
重さがあることで安定してました。さらに、持った感じや書きやすさのガイドなども文句無しに書きやすかったです。
- 製図用としても利用可能な本格派高機能シャープ
- 筆記時に線や文字が見やすい3段テーパー
- ガイドパイプ調節機構:定規の厚さに合わせて、最大4.0~0mmまで調節可能
- 芯送り出し調節機構:ワンノックで出る芯の長さを0.2~2mmの間で調節可能
- ノックカバーに芯硬度表示窓を搭載
- 着脱可能なクリップ
シャーペン芯
製図用シャープペンシルも当たり前のことですが、シャーペン芯は必須です。
ただし、文字を書くわけではないので製図用シャーペン芯はなるべく図面作成に特化したものを使用するとよいでしょう。
おすすめ①ステッドラーのシャーペン芯
厳選された天然素材を中心にPVCを排除して作られたシャープ芯となっております。
製図のためのシャーペンの芯と言って良いくらい折れにくく、くっきりと黒く濃い線を描けます。
おすすめ②ペンてるのAinシャーペン芯
芯の内部に強化シリカによるフレームを形成させて、内側から芯全体を支えるという、従来にない発想から生まれた新テクノロジーを採用しております。
最高レベルの強度を実現。
おすすめ③三菱鉛筆のUniシャーペン芯
「低摩耗」で、かつ「濃い描線」というのが特徴です。黒鉛が均一かつ高密度に整列しているため、低摩耗でくっきり濃い描線が得られます。
また、芯の強度を保ちながら、書き味が従来品よりなめらかな仕様です。
『ユニ ナノダイヤ』では、黒鉛粒子の間にナノダイヤを均一に配合することによって粒子同士の摩擦を低減し、なめらかな書き味を実現することができました。60mmの芯一本あたり、およそ4億個のナノダイヤが配合されています。
消しゴム
どんな消しゴムタイプでも良いのですが、細かい製図を行う場合はペンタイプや多角形のものを持ち込むと消す作業を効率よく行えるでしょう。
三角スケール
スケールは製図の寸法をはかるためのものであり、正確な製図を行うために必須となる道具です。
一級建築士においては1/200や1/400といった実務で使用するようなものを選ぶとよいでしょう。
テンプレート
テンプレートは、柱や什器を書き込むのに必要な道具です。
テンプレートの持ち込みは可能ですが、「円・だ円・正三角形・正方形及び文字用の型板」でなければ持ち込めないので注意しましょう。
電卓
電卓の持ち込みもOKです。
ですが、関数計算ができるものや音が出るものなど持ち込めない電卓もあるので注意しておきましょう。
製図版ケース
製図試験に持ち込む道具は多く、かさばるようなものばかりなので専用のケースに入れて持ち込むとよいでしょう。
また、ケースがあることで何処にどの製図道具があるのかいち早く探すことができ、試験時間の短縮にもつながります。
ステッドラーの製図板ケース
製図道具を入れることに特化した専用ケースです。
試験規定に順したA2サイズものまで入れることができ、まとめて製図道具を持ち運ぶのに便利。
ぜひ購入して学校でも家でも製図板を使えるようにしておきましょう。
このケースを購入するときの注意点ですが、製図用紙や製図道具も入れることを考えて大きめを購入しておくことが大切です。
あった方が試験が捗る製図道具
製図用ブラシ
これは息を吹きかけて消しゴムを飛ばそうとするとごく少量の唾液でも、製図用紙が汚れてしまうので、あったほうがいいです。
手で擦っても同じく汚れてしまうので、持っておくようにしましょう。
おすすめ製図用ブラシ
細かく散ってしまった消しゴムのカスもきれいに製図から取り除くことができます。
手ではうっかり汚してしまうこともありますが、製図ブラシを使えば用紙を汚すことなく効率的に製図が行えるでしょう。
フローティングディスク
フローティングディスクは三角定規や平行定規のスケールに貼って、製図用紙との接地面を少なくしましょう。
これにより、汚れが広がることを防ぎます。
図面を綺麗に見せることは印象点を上げることになります。
おすすめフローティングディスク
ついつい消しカスや芯のカスを引きづって図面が汚れてしまうこともある製図試験。
こちらのフローディングディスクは接地面をできるかぎり少なくすることに特化したアイテムです。
こちらを使用することにより、図面上で定規がなめらかに滑り、図面を効率よく製図できるようになります。
蛍光ペン
問題用紙の情報量はエグいくらい多いです。
そんな中でも、出題条件の必須項目や要素、任意項目などをあなたの目で整理できるようにしておいておくことが大切です。
ペン型消しゴム
これによって字消し板は要らないです。
ちょっとした線はこれでサッと消せます。
なくてもよかった製図道具
ドラフティングテープ
固定するのはマグネットテープで十分です。
テープを切ったり貼ったりしている時間はありません。
字消し版
字消板を探していたり、当てて消す作業は時間の無駄です。
そんな図面の綺麗さより、量を書く方が優先です。
勾配定規
一度も使ったことがありませんでした。
建築士ではそんな問題は出ませんし、出ても計算して書けます。
勾配を合わせている時間が無駄です。
コンパス・雲形定規
円を描く製図問題は一切出ません。
出たら多分みんな描けないです。
これで合格に一気に近づく製図道具
テンプレート付き三角定規
これで私もかなり製図時間が節約できた強者。
三角定規、三角スケール、テンプレート(四角や円も)がひとつになったテンプレート付き三角定規です。
これによって、道具の入れ替えが比較的に無くなり、製図速度が格段に上がります。
三角スケール(5cm程度の小さいやつ)
小さいスケールの物を描くときに大活躍します。
いちいち15cmや30cmの三角スケールを、小さい構造体や小物に使っていては時間の無駄です。
テンプレートスタンド
製図アイテムをいちいち置いたり取ったりする時間も、意外と無いんです。
そんな中で製図アイテムのある場所が分かっていれば、すぐに置けて取れます。
最後に
製図道具は試験に持ち運べるもので、ライバルと差がつく物になります。決して、劣らない自分が100%の力を発揮できるものを選びましょう。
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